2013年6月15日、世界一周スタート。

世界を自分の足で歩いて、空気を吸って、自分の経験にしたい。
ダンサー、俳優、パフォーマー、表現をする人間としての自分の一部にしたい。
自分の中の世界地図を埋める旅。

タイ→ラオス→ベトナム→カンボジア→タイ(2回目)→マレーシア→シンガポール
→中国(広州)→マカオ→香港→中国(北京)→インド→ネパール→トルコ→ブルガリア
→ギリシャ→イタリア→バチカン市国→サンマリノ→スロベニア→クロアチア→モンテネグロ
→ボスニアヘルツェゴビナ→セルビア→ハンガリー→ポーランド→チェコ→オーストリア→ドイツ→(一時帰国)
→イギリス→フランス→スペイン→モロッコ→エジプト→ケニア→南アフリカ→アルゼンチン→ウルグアイ→チリ
→ボリビア→アメリカ→日本帰国

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2013/09/28

バラナシの火葬場の詐欺師とバトル。

ガンジス川のボートから朝日を眺めた日。


ボートから戻ると、宿の前のガートでのんびり。
まだ犬も寝てる。
いや、野良犬はずっと寝てる。



ボートに乗ったのが朝6時前だから、ずいぶんのんびりしても8時にもならなかった。

ベンガリ・トラ通りに戻り、朝食をとる。
モナリザというカフェがWi-fiも使えたので毎日通っていた。
イングリシュ・ブレックファスト100ルピー(150円)。

しかし日の出から活動すると一日が長い。
その後、僕は有名な火葬場のあるマニカルニカー・ガートへ向かった。
ガンジス川沿いにあるバラナシで一番大きく、有名な火葬場。
24時間火が絶えることはないらしい。

マニカルニカー・ガートの行き方は結構わかりづらい。
宿であった日本人も「なんか街中で少年に案内してもらったんスけど、そうとうクネクネ道を曲がりました。」と言っていた。

そっかー、じゃ僕もテキトーに少年に捕まって案内してもらおうかなー…と思って歩き出す。



が。



捕まろうと思って街を歩くが少年に遭わず!!!!!


捕まりたくない時はいる癖に、捕まりたい時にはなぜかいない法則発動!!!

しかたなくgoogleマップと方角を頼りに迷路のような路地を30分くらいテクテク。

「とりあえず、川の方に出ればいいんだろ」、と思って歩いてたら、


着いたー。


火葬場の方に行くと、すぐにガイドのような青年が話しかけてきた。

「私はボランティアで火葬場の案内をしています。これはボランティアなのでチップは必要ありません。私のカルマのためにしていることですから。」

なるほど、英語もしっかりしてるし、見た目も学生風でそんなに悪いヤツではなさそうだった。


…こいつが悪いヤツってのは知ってたけど。
宿の日本人から話聞いてたしガイドブックにも載ってる。
詐欺師である。


火葬場には3階建てくらいの建物があり、観光客はその2階部分から火葬場を眺めることができる。
そこに入るには一切お金はかからず自由に見れるのだが、どうも必ずこいつらがくっついてくるらしい。
詐欺師なのはわかっていたが、金を払わなければいいと聞いていたので、しかたなくこいつの案内の受け入れ中に入る。
ちなみに火葬場の写真はNG。これは撮っても大丈夫、と言われたから撮った。



火葬に使われる、薪。
この後で重要な役割を果たすから、あえて注意を引くために撮らせるのだろうか。

建物の中には僕のほかに欧米人の観光客が一組いて、彼らにもガイドがついていた。


建物から火葬場を見下ろす。

人が焼かれるにおい、煙。焼かれて小さくなっていく人間の身体を初めて見た。
遺体は初め布にくるまれているが、焼かれていくうちに形がはっきりしてくる。

ガイドはかなり詳しく説明してくれた。

ヒンドゥー教の教えでは、人は前世からのカルマ(業)を背負って生まれ変わり、苦しみに耐えなくてはいけない。
しかしここで焼かれて灰になり、ガンジス川に流されると輪廻から解脱することができる。
それはヒンドゥー教徒にとって最高の幸福らしい。

他にも、
子ども、妊婦、事故に遭った人、蛇に噛まれた人などは火葬してはいけないからそのまま重石をつけてガンジス川に流すこと。
この建物は「死を待つ家」で、ガンジス川で死ぬために死を待つ老人たちがいること。
火葬の種火は5000年燃え続けていること。

そして、
「一体焼くのには3時間かかる。200キロの薪が必要で1キロは150ルピー(225円)。けれどみんながみんな薪代を払えるわけじゃないんだ。だから、あなたも薪代を寄付してほしい。」

…本題に入ったか。と思った。
この薪代が詐欺だ。
ここで彼らに薪代として寄付金を渡してもその金は彼らの懐に消えるだけなのだ。

「うん。あとでね。しばらく火葬を眺めてていいかな?」と言ってとりあえずやり過ごす。
「もちろんだよ、存分に見学していってくれ。」と彼も言った。


布にくるまれ運ばれてくる遺体。焼かれていく光景。
風向きによって、煙が目に染みる。
人の死について考えるときの感情。祖父母のお葬式を思い出した。

燃え上がる遺体の横には、ガンジス川が流れている。
僕が今朝乗ったボートも浮かんでいるし、数10メートル以内のガートには沐浴してるひとも泳いでいる人もいるだろう。
灰が流れていくのをみていると、ちょっと沐浴する気にはなれないなと思った。

普段見ることのない光景を、不思議な気持ちで眺めていた。


…が。


暇なのかガイドの青年が話しかけてきて、ゆっくりと眺めることさえできない。

自分は18歳で、日本の大阪にガールフレンドがいて…「バラナシ、ハブラシ、スバラシイ!」



…こいつは詐欺師だと確信した。
いや、知っていたが、どうしようもないヤツだと確信した。

そして「薪代を寄付してくれないか?その後で見ててもいいから」と言ってくる。
早く払わせて、次の観光客のところに行きたいんだろう。

もう少し見ていたかったが、ここまでのようだ。

ただ、ガイドは実際タメになったし、その分のチップくらいは渡してもいいかと思い、
「50ルピーでいいかい?」と聞くと
「薪は1キロからだ。1キロは150ルピーだよ。みんな5キロ分くらいは寄付する。」と言う。

「そう。僕はそんなに払うことはできない。」と言うが
「みんな5キロ分寄付してるんだ、払え。」と言って50ルピーは受け取らない。
これはダメだと思い階段を降りて行こうとすると、階段の下から別の男が現れ、
「おい、金を払え!」と道を塞いできた。

18歳のガイドはひょろひょろして背も低かったが、この男はそこそこガタイもよかった。

あ、こいつはヤバイ、と思って足早に男をすり抜け階段を降りて行こうとすると、「待てコラ!」と恫喝され男に腕を掴まれた。

もう引けないと思い僕も
「何掴んでんだよ!!!!」と怒鳴って振り払い、階段を駆け下りる。
建物の入り口にも仲間らしき男が3,4人いたが、そのまま人がたくさんいる方向へダッシュで駆け抜けた。

男達は追ってこなかったが、ガイドの青年だけが少しついてきて
「あんなに長時間説明しただろ!チップ寄越せ!」と叫んでいた。


そして捨て台詞に「バッドカルマ!」と言って、ついて来なくなった。


自分のカルマのためにボランティアで無償でガイドをしている、と言っていたヤツが最後には
「チップ寄越せ!このバッドカルマ!」と叫ぶ。


…もうなにがなんだかわからない。
では、神聖な場で恫喝し詐欺を働くこいつらのカルマはいったいどうなっているのか?
そこんとこをどういう風に考えているのか、本当に知りたい。


迷路の路地を戻りながら、動悸がおさまるのには少し時間がかかった。
腕を掴まれて恫喝されたのは、正直結構ビビった。
そんなに事件に出会ってもないけど、強行手段に出られたのは初めてだったなー。
逃げられて良かった…。


あとで宿のオーナーのインド人に話したが、やはりあそこはトラブルが多いので近づかない方がいいらしい。
「1ルピーも払わず逃げてきた」と言ったら、
「それでいい、絶対払う必要はない」と言っていたので僕の「バッドカルマ!」のモヤモヤも楽になった。

部屋に戻ったらすぐにシャワーを浴びた。
煙の臭いのついた服もすぐに洗濯したかったけど、夕方にデリー行きの列車に乗るので洗濯したら乾かない。
ビニール袋に入れてバックパックに突っ込んだ。


聖なるガンジス川と、火葬場と、そこで詐欺を働くヤツ。


結局1週間滞在したが色んなカルチャーショックがありすぎて、「なにがなんだかわからない街」という僕のバラナシへの感想は、
白髪のジイさんのリキシャーマンに揺られ、ガンジス川を後にしながらゆっくり消化していった。


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